アイコン

同友会からのお知らせ

お知らせ

学生が事務局の仕事「企業訪問」を体験しました(山形大学低学年インターンシップ)

9月に行われた山形大学と山形同友会が連携して実施する「低学年インターンシップ」では、山形同友会事務局にも3名の学生さんが参加。事務局の仕事を体験しました。

毎年のインターンシップで必ず体験してもらっているのが、会員企業さんへの訪問です。今回のインターンシップでは寒河江支部の㈲鏡畳店さん(会員:代表取締役 鏡芳昭氏)を訪問。3名のレポートを掲載いたしますので是非お読みください!

 

山形大学理学部理学科1年 齋藤晃士朗
●はじめに

9月5日、企業訪問の一環として寒河江の鏡畳店様にお邪魔させていただきました。鏡畳店を経営するのは若々しくフレンドリーな鏡 芳昭さんです。鏡さんで4代目となるこの畳店では、通常の畳はもちろん、畳でできたベッドや椅子などのユニークな製品を販売しています。今回は畳店の概要についてお話を頂き、その後さまざまな質問に答えていただきました。普段聞くことのできないような貴重なお話を聞くことができ、とても勉強になりました。その一部を紹介させていただきます。

● 特長
私が鏡畳店様に伺って感じたことは、枠にとらわれずに様々な事業や製品開発に取り組んでいるということです。その積極的な姿勢は、鏡さんの「ランダムアクセス」という考え方から来ているようです。「ランダムアクセス」とは、その場その場でのご縁を大切にして、自分に降ってきた仕事がたとえ難しいものであってもとりあえず取り組んでみるという考え方だと、鏡さんは話していました。昭和までは必需品だった畳ですが、平成、令和と時間を経るにつれて無くても困らないものへと変わっていき、その影響を受けた畳店の数は激減していきました。そのような状況の中で危機感を抱いた鏡さんは、「自分は畳屋だから畳だけを作っていればいいと決めつけるのはダメだ、もっと視野を広げなければ」と感じ、ランダムアクセスという考え方を取り入れるに至ったそうです。その考え方のもと、アメリカからの畳の張替の依頼を引き受けたり、資生堂と共同で製品開発をしたり、YouTuberとコラボして製品開発を行ったりと、多岐に渡る活動に取り組んできたそうです。その結果、鏡さんの経営する畳店は地域に根付いて、現在も多くの方から愛されています。また世界各国との繋がりもできているように思えます。このお話を聞いて、「ランダムアクセス」の精神で様々なことに挑戦する姿勢が、鏡畳店の特徴なのではないかと感じました。

● お伺いしたこと

→ 同友会に入会してよかったと感じたことは何ですか?
「若い頃に、幹部社員研修に連れていかれたことがありました。その中でディスカッションに参加する機会があったのですが、話の内容が難しくてついていけずに恥ずかしい想いをしました。その経験から勉強の大切さを知り、ドラッカーの著書などを読むようになり、今では読書が好きになりました。同友会のような「安全に恥をかくことのできる場所」があり、頼りがいのある経営者の方々との交流があったからこそ、成長することができました。本を読むと知識のデータベースができあがり、経営をはじめとする様々なことに役立ちますから、是非本を読んでください。」

→ 畳業界はコロナ禍によってどのような影響を受けましたか?
「い草の流通量が減り、畳店の数も大幅に減りました。しかしながら、それはいずれ訪れるはずだった光景で、それがコロナ禍によって早まっただけだと思います。同じような仕事を続けているとパターン化が進み、変化を避けるようになりますが、視野を広く持って様々なことに取り組んだ畳店は今回のようなコロナ禍でも生き残ることができるのだと思います。それはどの業界でも一緒です。」

→ 芳昭さんの考える中小企業の魅力を教えてください。
「素早い対応ができるところ、変化に柔軟であるところだと思います。中小企業は社員間の距離が近いため、社長とも気軽にお話ができ、企画も通りやすいというメリットがあります。大企業では上からの指示を中心に動くため、社員の主体性や面白みがなく、保守的な考え方が染みつきやすいです。そういった意味では、社員が主体的に考えて動くことのできる中小企業は、個人が輝くことのできる場所であるともいえます。」

→ 鏡畳店の経営指針を教えてください。
「『畳文化を創造する、畳屋を再定義する』です。畳店だからといって畳だけを作るのではなく、畳文化を広げるために畳がどのようなものなのかを知ってもらう取組みをしています。具体的には畳を身近なものと感じてもらえるような製品を開発したりしています。ただ新製品を開発するにしても、畳の本質からズレたものや、質の悪いものは作りません。なぜならば、質の悪い畳の普及が畳離れを引き起こしたともいえるからです。畳には、湿度が高い時には湿度を吸収し、反対に低い時には放出するという性質があります。また嗅覚的にはリラックス効果がありますし、視覚的にも人間の肌と反射率が似ているので目に優しいです。そのような畳の本質を活かした製品を作り、使ってもらうことで、畳の良さを広めることができたらいいなと考えています。」

● 振り返って
鏡さんのお話を聞いて、たくさんの良い影響を受けました。まずは読書の大切さを知りました。大学生活は時間に余裕があるので、知識のデータベースを作り上げるためにも多くの本を読んでみようと思います。また、ランダムアクセスの考え方を取り入れて、一見すると今の自分には関係のないことでも、何かの縁だと考えて手を付けてみようと思いました。今回のインターンシップを通して学んだことを今後の人生に活かせるよう、努めたいと考えます。

 

 

山形大学理学部理学科1年 白岩果穂

私は鏡畳店に企業訪問し、社長の鏡社長から鏡畳店の歴史や畳の魅力、畳に対する思いなどのお話を伺いました。以下は鏡畳店の特色と、私が企業訪問を通じて感じたことをまとめました。

●特色

鏡畳店では、品質にこだわった畳づくりが行われています。畳に使用されるい草の8割が中国産という状態の中、鏡畳店では国産のい草を使って畳をつくります。鏡社長曰く、「お客様に上質な畳を使っていただくことで、畳の本質(魅力)を理解していただきたい」とのことでした。畳には湿度調整のほか気分を落ち着かせる、集中力を高めるなどの効果があるそうです。

鏡畳店の畳は、国内だけでなく海外でも親しまれています。アメリカで畳替えを行ったり、インドで畳をはじめとした日本の文化を伝えるイベントを行ったりしています。国内では、日本文化遺産や世界遺産の畳替えも行っています。

鏡畳店では建築家やyoutuberといった職業の方と共同制作を行っています。また、畳だけでなく材料のい草を使ったクッションやベッドなども制作しています。

 

●感想

今回、鏡社長にお話しを伺ったことで様々な視点を持つことの重要性を学びました。衰退産業といわれる畳産業は、年々い草を生産する農家が減少しているそうです。そういった状況の中で鏡社長は少なくなるからこそ畳の価値が上がり、貴重なものとなる、とおっしゃっていました。一見するとマイナスな視点で考えやすい物事を、プラスの視点で判断される鏡社長の視野の広さに驚きました。また、今までにない新しい製品を開発することで持続可能なビジネスを目指す鏡社長の行動力にも驚きました。

さらに鏡社長に中小企業の魅力について質問しました。鏡社長は変化対応がしやすいこと、社員と社長の距離が近いことをはじめに述べられました。次に部分適所ではなく個人が輝ける場であること、それによって仕事に対する面白さがあることを述べられました。仕事にやりがいを持ち、お客様の一番を考える鏡社長の考えはとても興味深いものでした。私は鏡社長のお話から、働くことはただ単にお金を稼ぐことだけではなく、様々な人と関わってつながることではないかと思いました。私はこれから人との出会いやつながりを大切にし、様々な視点から物事を見つつ積極的に行動できるような生活を心がけていきたいと思います。

 

 

山形大学工学部機械システム工学科1年 櫻井雄真

●特徴

鏡畳店さんは4代目である鏡芳昭社長をはじめ従業員5人で営んでいらっしゃいます。鏡社長は衰退産業と言われている畳づくりに危機感を覚え、畳文化を様々な視点から切り込み、文化を再構築することを始めました。時には畳の匂いについて化粧品メーカーさんと協力したり、畳を用いた新商品が海外の方の目に止まったりなど様々な業種の人と共に実績を重ねていきました。その結果、日本の畳が世界中の方に見てもらえるようになりました。畳産業に対する危機感もいつの間にか好奇心へと変化しており、鏡畳店さんは山形の中小企業が世界として飛び回るグローバル企業へと変わっていきました。現在、鏡社長は世界で認められる畳をつくり、それを日本で知ってもらうことが一つの目標だと仰っていました。

●魅力

鏡畳店さんは、現在大量生産されている中国産の畳やビニール製の科学繊維由来の畳などにはない、い草の吸湿、放湿や人の心を落ち着かせるい草独自のにおいといった性質を利用した機能性の高い畳をつくられています。それに加え、ただの畳としてではなくクッションやミニ畳など現代に合わせたデザインに加工している商品を数多く売り出しています。近年畳の需要がかなり少なくなり、それに加えてコロナ禍の影響あり減少している畳屋ですが、それでも変わり続けようと多くのことに挑戦を行い、環境が変わってしまってもその変化に対応できる、これこそ鏡畳店さんの魅力と言えるでしょう。

●感想

実際に鏡畳店さんにお邪魔さていただき山形の中小企業がどのような感じなのかを肌で感じることができました。鏡社長からいろいろなお話をさせていただき、鏡社長は、利益ばかり気にして本質を忘れてしまってはいけないと仰っており、大企業のように数で商売をするのではなく品質を武器に商売すること、そして一つの中小企業ではなく多くの業種の方と繋がりグループとなることで大企業に劣らない業績を上げられたのだと思います。私はこれを聞いて鏡社長から中小企業だからできないのではなく中小企業だからこそできるという気迫を感じました。常に変化している鏡畳店さん、私もそんな彼らのように変わり続けられる人材を目指していきたいです。

023-615-8302